§1 序

ケンタウルスサミット開催

星間歴 0991 年、 グラディウス歴 7000 年を記念した星系同盟のサミットが、 ケンタウルス第 3 惑星オメガで開催された。
サミットのテーマは今後の外星系進出についてであり、 会期中に辺境惑星調査隊が良い知らせを持ち帰るはずだった。
ところが辺境開拓軍の遭難信号を受信すると自体は急変、 グラディウス国賓護衛隊が救助に向かう事態となってしまう。

サミットでお披露目予定だったビックバイパーは開発遅延しており、 国防の弱体化に批判的なラティス王子は我関せず。
若干 14 歳の女性エースパイロット、 レイチェルの活躍により事なきを得るが、 グラディウス政府は大恥をかいてしまった。
辺境惑星の調査は一旦中断されたが、 星間歴 0998 年に再開され蛇神ウンディーネの封印を解除してしまう事となる。

グラディウスとラティスの関係悪化

グラディウス国防省は終戦からわずか 2 年後の星間歴 0833 年 （グラディウス歴 6842 年） のライフフォースに 4 機目のビックバイパーを、 星間歴 0843 年 （グラディウス歴 6852 年） のソーラーアサルトに 5 機目のビックバイパーとアルピニアを立て続けに戦線投入したが、 6 機目のビックバイパー開発は一転して慎重姿勢に変わり、 国防の要を凡庸な主力戦闘機コブラでまかなう期間が長く続いた。

星系同盟各国の強い要望で開発されたコブラであったが、 終戦による軍縮で足並みは乱れ、 コブラでの戦力一律化は実現しなかった。
一部の同盟国ではビックバイパー量産型が使われ続けたため、 グラディウスは率先してアピールする狙いがあったものと見られる。
だがロードブリティッシュを擁するラティスは安全保障上で優位な立場となり、 グラディウスへの批判を強めていくこととなった。

6機目のビックバイパー開発遅延

星間歴 0659 年 （グラディウス歴 6668 年） にグラディウス帝国の皇帝ラーズ 18 世が脱リークパワーへと政策転換し、 宇宙科学庁に新型エンジン開発を指示して以来、 レイチェルの家系は一子相伝で 300 年以上その研究に従事してきた。
6 代目が主力戦闘機コブラ開発に携わり、 代々コブラへの新型エンジン搭載という使命を秘かに受け継いできた。

レイチェルには年の離れた兄と妹がいる。家庭をかえりみず研究に明け暮れた両親は一家団欒を夢見て、 完成を目前に 3 人目を作った。
その矢先、 新型エンジンの目玉機能であるオプションシュートの実験中に両親は不慮の事故で帰らぬ人となってしまった。
急きょ兄が研究を引き継いだが、 6 機目のビックバイパー完成は遠のきサミット開催に間に合わなくなってしまった。

幼少期から超時空戦闘機パイロットの英才教育を受けてきたレイチェルは、 両親の代わりに兄を支え妹を守るため、 腕を磨きコブラの全てを知り尽くして、 若干 14 歳にしてケンタウルスサミットのグラディウス国賓護衛隊長に抜擢された。

§2 破

辺境開拓軍が遺跡で遭難

サミットが開催されたケンタウルス第 3 惑星オメガは星間歴 0639 年 （グラディウス歴 6648 年） に開発調査隊が消息不明になり、 終戦まで激戦地だった場所だ。先の大戦の爪痕は深く、 復興を国内外にアピールすべく誘致したサミットだった。
しかし歴史は繰り返されてしまう。手柄を立てるべく辺境開拓軍を送り込んだ惑星の遺跡にウンディーネが封印されていた。

古代文明の遺跡は巨大な迷宮になっており、 辺境惑星調査隊に代わって内部に進入した辺境開拓軍はたちまち遭難してしまう。
しかも内部にはバクテリアンを思わせる兵器群が多数配置され侵入者の行く手を阻んでいた。実戦経験が浅い彼らは怯んでしまう。
負けん気の強いアレックス軍曹はひとり息巻いたが為す術もなく、 辺境開拓軍は遭難信号を発信することになる。

ラティス王子の挑発

辺境開拓軍の遭難信号を受信してサミットは一時中断。

星系同盟は本来ならばここでグラディウスがビックバイパーを出撃させるべき事態だがと苦言を呈したうえで、 ラティスにロードブリティッシュ出撃を要請したが、 なんとラティス王子はこれを拒否し、 あまつさえ単騎戦に不向きなコブラは超時空戦闘機としていかがなものかとグラディウスを批判し、 出席者を凍りつかせた。

しかもラティス王子は、 優秀なパイロットには実力に見合った超時空戦闘機を用意すべきだとして、 グラディウス国賓護衛隊長のレイチェルを指名し、 コブラではなくロードブリティッシュに乗せるよう提案した。
一刻を争う事態だ。出席者たちは提案に乗るようレイチェルをあの手この手で説得したが断固拒否されてしまう。

レイチェルはラティス王子に対し 「私より腕が立つのになぜご自分で乗らないのか」 と非難した。
ラティス王子はレイチェルを引き抜きたかったが振られてしまった。レイチェルは単身コブラで辺境惑星へ向かった。
レイチェルはこのときの功績をもって 6 機目のビックバイパーパイロットに内定した。

蛇神ウンディーネ封印解除

アレックス軍曹が再び迷宮に赴いたのは、 星系同盟が辺境惑星の遺跡群を取り壊す計画を小耳に挟んでの勇み足だった。
サミット閉幕後も地道な学術調査は続けられたが、 最奥部で発見された古代文字は結局解読不能なまま終わった。
だがアレックスはレイチェルとともにあの日見た巨大な蛇の像が失われることになぜかとても胸騒ぎがしていた。

星間歴 0998 年 （グラディウス歴 7007 年） アレックス軍曹は遺跡への不法侵入と破壊の罪で謹慎処分となる。
その頃あの古代文字が 「蛇神ウンディーネは永遠に封印すること」 という意味だったと判明したが時既に遅く、 蛇神ウンディーネ、 またの名を亜空間生命体ドゥームはケンタウルス星系を亜空間に呑み込み始めていた。

§3 急

孤軍奮闘で救われた命

アレックス軍曹の孤軍奮闘は年をまたぎ、 第 2 星系国家プロキオンまで追い詰められていた。
第 9 星系国家ケンタウルス、 第 8 星系国家アンドロメダ、 第 7 星系国家オリオン、 第 6 星系国家ウサギザ、 第 5 星系国家カシオペア、 第 4 星系国家ダイヤモンド、 第 3 星系国家トライアングル、 全てが亜空間に消えた。

アレックス軍曹はドゥームの侵攻を食い止めることはできなかったが、 時間稼ぎをしたことで多くの避難船が母星グラディウスに向けたワープに成功し、 命をつなぐことができた。
そして 6 機目のビックバイパーとスーパーコブラが完成し、 ようやく崩壊した星系同盟の仇討ちが始まった。

レイチェルとの再会

ビックバイパーとコブラバイパーがすれ違う。
満身創痍のコブラパイロットと交信したレイチェルは、 その相手があのアレックス軍曹だと気づき険悪ムードに。

レイチェルにとってアレックスはあの日救助を求めたくせにライバル心むき出しで職務を邪魔した暑苦しい厄介者だ。
強烈な印象とともに吐き気を催すような男だ。だがアレックスがいなければこの世界はとうの昔に滅亡していた。

「腕を上げたな。後は任せろ」
複雑な思いが入り交じる中、 アレックスにそう言い残してレイチェルは飛び去った。

アレックスは軍曹のまま

レイチェルの安否がわからないままアレックス軍曹は惑星グラディウスに身を寄せていた。
コブラにビックバイパー量産型のエンジンを強引に取り付け、 ガウディ X をハッキングして認識させたコブラバイパーは、 レイチェル兄の格好の標的となった。

アレックスはウンディーネ封印解除という大罪を犯した。だがその事を知る人はもう誰もいない。
グラディウスもラティスも引く手あまただったが全て断った。
ラティス王子には、 本当に欲しいのはレイチェルだが 2 番目だったら君が欲しいと言われ、 無性に腹が立ち、 そして薄気味悪かった。

アレックスは十字架を背負い今後も辺境開拓軍の軍曹として生きていくことを誓った。

ジェイムスの丘で

アレックスは早晩この星を出ようとしたが、 レイチェル兄に一緒にレイチェルの帰りを待っていてほしいと引き留められた。

アレックスはふとレイチェルの身を案じ、 どこか無事を祈れる場所はないかと柄にもないことをつぶやくと、 レイチェル兄はジェイムスの丘を案内してくれた。

アレックスはジェイムス ・ バートンが初代ビックバイパーでこの宇宙を救った英雄だったと初めて知った。
ジェイムスがビックバイパーのエンジンに乗り移っていたのだろうか。
ありがとうジェイムス、 あなたのおかげで俺は…俺は……アレックスは泣き崩れた。

§4 年齢一覧表

※ラティス王子は年齢不詳 （レイチェル兄の 2～3 歳年上くらい）

レイチェルの家系

• 初代 ： 皇帝ラーズ 18 世 （ジェイムス） から新型エンジン開発を指示される。
• 6 代目 ： 主力戦闘機コブラの開発に携わり、 こっそり新型エンジンに対応させる。
• 11 代目 ： レイチェル両親は新型エンジンのオプションシュート実験中に事故死。
• 12 代目 ： レイチェル兄が 6 機目のビックバイパー、 スーパーコブラを完成させる。

§5 相関図